ナイフが持てない猫

子どもたちはこの街に土がないので
砂場で遊ぶ
しかしその砂場さえも
猫がトイレにして汚いから
やめろ、と言われる

では猫が悪いのかと言えば
好きでノラ猫になった猫もあまりいないだろうし
そんな彼らも土がないので
砂場で用を足すしかない

となると、
悪いのは、誰だ？

なんだか息苦しい
世の中が息苦しい
大人がため息をつき
子どもたちもため息をつく
大人は酒を飲んだりパッと遊んだり
うさも晴らしようがあるけれど
子どもたちはどうすればいいか分からず
ナイフに手を出す
・・・のかもしれない

別にナイフでなくてもいいのだろうけど
今彼らが
手にしたのは、ナイフだった
そしてその正しい使い方を教えないばかりか
間違った使い方を大人たちは連日教えている

猫はナイフを持てない
それが幸せなのか、不幸せなのか
その答えをぼくは知らない
でも、探さなきゃと思う
これからナイフと出会う
２人の子どもたちのために