秋から冬へ’９３

君のかあさんに
何を言おう
君のかあさんに
何を伝えよう

いろいろ考えたんだけどね
なんだか
難しく考えると
難しい言葉にしかならなくて
だから
すごく簡単に
考えることにしたんだ
今、君のかあさんに
一番伝えたいことだけ
言葉にしよう、って

今は、もう
君にも僕にも
とうさんはいなくて
お互い、かあさんだけが残った
とうさんがいない淋しさは
僕等は紛れるけれど
子ども達は、きっと
おじいちゃんを知らずに育つ
なんだか、かわいそうだな

もうね
僕等には
親と呼べる人は
お互いひとりずつしかいない
だから
君は僕の名字になるけれど
お互いの親を
同じように大事にしたいんだ
離れて付き合ってきた僕等
生活する場所によっては
どちらかの親が
きっと淋しい思いをする
でもね
俺は決めたんだ
いつも、同じように
同じように愛するんだって

今では
とうさんたちが亡くなって
家族は減るばかりだったけれど
これからはね、
次々に増えていくよ
僕等の結婚も
その一つだってこと
わかって欲しいんだ
それぞれのかあさんに

もう、秋だね
離れているせいか
すごく長い時間を
２人で過ごしてきた気がする
きっとうまくゆくさ
そんな気がするのは
秋になるせいだけじゃないよね

今の気持ちを
お互い忘れずにいよう
きっと
きっと
春が来るさ

旅の終わりに−